が、その後の作品を見ると、またしてもデュティユーの影が見えなくもない。もちろん、この場合には昔のような露骨な影響というよりも、三善の個性の方が勝ってはいる。「部屋は出た」ものの、まだその部屋に通じる扉は閉じられてはいない、といったところか(これは三善を貶めてこう言うのではない)。まさに両者の間には「円環と交差」があるわけだ。
その三善の《ピアノ・ソナタ》(1958)は今やすっかり普通のレパートリーの仲間入りをしたようで、you tubeでも種々の演奏を聴くことができる。が、残念ながらなかなかよい演奏には出会えない。そんな中で次の演奏はまことに素晴らしい:https://www.youtube.com/watch?v=6qyZo4uG0Zw
実は以前CDで聴いていたときにはあまり好きな演奏ではなかったのだが、他の演奏と聴き比べてみて、ようやくその見事さに気づかされた(恥)。