今日は恩師、松本清先生から『ソナチネ アルバム』(https://sheetmusic.jp.yamaha.com/products/4947817251927?srsltid=AfmBOoosdWjpcflG2cHy6BWVTPNOvJ61po2JPxfYeUeikbVT6ELn4AaX)をお送りいただいた。このアルバムはピアノ初学者が手がける2巻の同題の曲集から取捨選択されたもので、先生が校訂・解説を担当している。楽譜本文中には形式分析や演奏法に関する有益な書き込みもある。ともあれ、まことにありがたいことだ。
そこに収められた数々の「ソナチネ」にお目にかかるのは随分久しぶりのことだ。が、いくつかの曲を弾いてみると実に面白い。『チェルニー30番』を話題にしたときと同様なことが、今回も起こったのである。すなわち、少年時代には見えなかったものが見え、聞こえなかったものが聞こえるのだ。それは以前よりも読譜力が向上したことと、作品の「音楽的背景」がわかるようになったことによるものだろう。それにしても、あの「ソナチネ」がこんなにも面白いとは……。ちょっとした音の動きや和声の変化の中に数々のドラマがあり、弾いていたわくわくするのだ(これはやはり、聴くよりも弾くことで味わえるものだろう)。
まあ、才能のある子どもならばすぐにわかったことを還暦に近い大人が今更ながらに面白がっているわけで、つくづく己の非才に呆れるばかり。だが、遅ればせながらも、かつてあまり楽しめなかったものを楽しめるようになったというのは幸せなことだとも思う。というわけで、この曲集をとうの昔に卒業したと思っている方々にも再見をお勧めしたい(楽譜は上記のものを!)。