2024年12月21日土曜日

小品の演出法

  今日もギーゼキングが奏でるメンデルスゾーンの無言歌に聴き入ってしまった。こうした小品をサラリと弾き、聴き手を魅了するのはそう簡単なことではあるまい。そこには大曲をこなすのとは別の演出法が必要だ。

 その習得には、よき手本の真似もさることながら、やはり聴き手、それも学校の教師、コンクールの審査員や音楽評論家などとは異なる普通の聴き手の反応から学ぶことが欠かせまい。

 

 歴史の中に埋もれた数多の小品。その中のある曲は、譜面(ふづら)がたわいもないものに見えたとしても、かつて作曲者の手によって魅力的に奏でられ、聴衆をうっとりさせたり、熱狂させたりしたかもしれないのだ。だとすると、今日、そうした「埋もれた作品」を掘り出して演奏する者にはたくましい想像力が求められよう(そして、実のところ、これはどんな作品の楽譜に対しても言えることだ)。