音楽のプレイヤーには予めつくりこんでおいたものをパフォーマンスの場できっちり再現したいタイプと、その場の状況に合わせて臨機応変に対応するタイプがいる。そのいずも一長一短であり、どちらがよいかは一概には言えない。
山下達郎は前者のタイプ、誇り高き完全主義の職人に属するようだが、それは彼の音楽家としての生き方の問題であり、他人がとやかく言うことではあるまい(https://news.yahoo.co.jp/articles/da4f7221fed439079dd8e34914cfa96a1a0d30a3。ファンが「完全さ」に綻びの見える山下をどう評価するかはまた別の問題であるかもしれないにしても)。が、もし、彼がその生き方を変えるつもりがないのならば、そろそろ引退の時期が来たということなのだろうか。もちろん、それを決めるのは本人しかいないわけだが……。
私は別に山下のファンでもないし、アンチでもない。が、彼のような完全主義者が生き方をいくらか変えてでも音楽を続けるとすれば、それは聴いてみたい気がする。そこにはそれまでの彼にはなしえなかった何かが現れているかもしれないからだ。