今日は久しぶりの演奏会。演目が魅力的なので、かなり前から楽しみにしていたが、期待通りであった。それは何かといえば、大阪のザ・フェニックスホールの主催公演「Fauré and more Fauré フォーレ ピアノ五重奏曲 全曲演奏会」である(https://phoenixhall.jp/performance/2024/12/07/22007/)。早々にチケット完売だとのことだが、それも頷けるすばらしい企画であり(ちなみに今年はフォレの没後100年。同じフランス人作曲家のドビュッシーやラヴェルに比べ、日本の演奏会でフォレの作品が取り上げられることは――一部の限られた作品を除き――さほど多いとはいえないだけに、ピアノ五重奏曲をまとめて聴けるというのは、稀有の機会であろう)、演奏も見事だった。
今回の演目でもっとも期待していたのはフォレ晩年の傑作、ピアノ五重奏曲第2番作品115(1919-21)である。私はとにかくこの曲が大好きなのだが、今回実演を聴き、改めて「何とよい音楽だろう」と思った。全4楽章のどれもが個性的であり、その配列も巧みである。そして、何よりも胸を打たれるのは、音楽の若々しさだ。作曲当時、フォレは70~72歳であったにもかかわらず、この作品のエネルギーと瑞々しさには驚くべきものがある。そして、今日の演奏は、まさにそうした作品のありようにふさわしいものだった(ピアノがもう少し積極的であってもよかったようにも感じたが、それはそれとしてなかなか魅力的な音楽づくりをしており、今後が楽しみな人である)。
ともあれ、フォレの音楽の魅力をたっぷり味わわせてくれた演奏者、そして、演奏会の企画・運営に関わった方々に心から御礼申し上げたい。