2020年7月26日日曜日

アマチュア演奏家向けの「現代音楽」

 20世紀の「現代音楽」は多くの音楽愛好家を締め出した。そして、その「愛好家」の中には音楽の聴き手だけではなく、自分で演奏して楽しむアマチュアの演奏家も含まれる。20世紀には楽器が工場で大量生産され、少なからぬアマチュアが演奏を楽しんでいたことを思えば、これは何とも皮肉な話であろう。ポピュラー音楽ならばヒット曲は即、そうした「楽しみ」に供されたであろうに、「現代音楽」ではそんなことは起こりようがなかった……。
 21世紀の「現代音楽」の1つのあり方として、そうした「アマチュア演奏家」向けの(精確に言えば、「プロの演奏家だけではなくアマチュア演奏家をも喜ばせる」)音楽に目を向けるというのはどうだろうか? もちろん、一口に「アマチュア」と言っても、その水準や嗜好はさまざまだろうが(昨今のアマチュアの演奏水準の高さと音楽への愛を侮ってはいけない!)、だからこそ、作曲家には工夫の余地があるはずだ。そして、それは「わかる者だけついてこればよい!」といった偏った姿勢を直すための格好のリハビリにもなるだろう。