2021年4月29日木曜日

メモ(50)

 音楽作品の「イデア」なるものがあるとすれば、それはその都度の(頭の中で思い浮かべるものも含めての)演奏を通して暫定的に仄見えるものでしかない。予めあるイデアを現実化するのが演奏ではなく、演奏によって初めて(あくまでも暫定的なものとしての)イデアの片鱗を捉えることができる(すなわち、イデアはア・プリオリなものではなく、ア・ポステリオリなものだということ)。

 

 必ずしも長生きすること自体に価値があるわけではないが、今日の多くの演奏には失われてしまったものを生々しく示してくれるという点でこの長命の現役ピアニストの演奏は貴重だ:https://www.youtube.com/watch?v=ml021gdGMto