2021年3月5日金曜日

メモ(37)

 以前にも述べたことがあるかもしれないが、私にとって「演奏会」というのは非日常の特別、かつ、稀な出来事である。この感覚はそうそう演奏会などない地方に生まれ育つ中で、また、あまり裕福ではない暮らしの中で自然に備わったものだ(それが悪かったというのではない。自分なりに十二分に音楽を満喫していたからだ)。

とにかく、そうした感覚が基本設定として自分の中に根付いているので、現在は都市部に住んではいても演奏会にはよほどのことがないと出かけないし、遠方にわざわざ聴きに行くとか、連日のように出かけるとかいうこと(もちろん、それはそれで大いにけっこうなことだとは思うし、そうしている人たちのことをどうこう言うつもりは全くない)はまず自分には考えられない(懐具合が寂しいこともあるが……)。限られた機会を大切にしつつ、演奏会とは違ったかたちで音楽を楽しんできたし、これからもそうするつもりだ。が、コロナ禍が過ぎ去ったときには、もう少し積極的に「外」へ出て、人と交わる中で何かこれまでとは違った音楽のあり方を見つけ、他者とともに楽しみたいとも夢想している。

 

 #追記

 実は上の文を投稿した後、演奏会に出かけてきた。私にとって「特別な出来事」たるものだったからだ。それは中野慶理先生のピアノ・リサイタルである。そして、それは期待以上にすばらしいものだった。感想は明日、改めて述べることにしたい。

今月はさらにあと2つ演奏会に行くことになっている。これは私としては異例の多さだが、たまにはそういうこともある。