2021年2月17日水曜日

自筆譜のレイアウト遵守

 ショパンのいわゆる「ナショナル・エディション」やピーターズの新版では自筆譜のレイアウト(上限2段の譜割り)にそのまま従っているが、それはすでに従来の版に見慣れた者からすれば些か読みにくい。

 なるほど、そうした作曲家のレイアウトには音楽上の意味を持つ箇所があるのかもしれないが、すべてがそうだとは限るまい。それゆえ、私にはそうした「レイアウトの遵守」は何かフェティシズムのように思えるが、これは言い過ぎだろうか。

 もし、そこまで楽譜の「譜づら」を重んじるのならば、いっそのこと初版をそのまま活かし、音が異なる箇所のみ書き換えて註をつけるというかたちにすればよかろう。ナショナル・エディションにせよ、いかにもコンピュータでつくったようなピーターズ版にせよ、往時を偲ばせる初版の見た目に比べて何とも殺風景だから。