2021年2月21日日曜日

楽譜のレイアウト

 楽譜のレイアウトというのはなかなか難しいものだ。あまり詰め込みすぎると読みにくいし、圧迫感を覚える。さりとて、あまりに隙間が多すぎてもよくない(が、書き込みのできるスペースは欲しい)。また、ページの変わり目(精確に言えば、「譜めくり」を要する箇所)は演奏にとって都合のよいように配慮する必要もある。

 内容はとてもよいのに、この「レイアウト」のために使いづらい楽譜というのは本当にもったいない。たとえば、中井正子校訂のドビュッシー作品の楽譜などは、とても優れた実用版だと思われるのに、今のかたちでは些か使いにくいのだ。そこで1頁あたりの段数をもう1つ減らし、かつ、もう少しだけ大きな判型にすれば格段使い安くなるだろう。なるほどページ数は増えるが、たぶん、利用者も増えるのではないだろうか。

 春秋社の森安版《イベリア》も素晴らしい楽譜なのにレイアウトが「密」すぎて目が疲れる。これは楽譜の浄書の仕方のためもあろう(他社のいくつかの版と見比べてみると、その差ははっきりしている。森安版は音符も「密」すぎるのだ)。が、校訂の内容と見事な解説を思えば、この森安版の密なレイアウトはやはり「もったいない」。

 楽譜の浄書技法、「読みやすい楽譜とはどのようなものなのか?」ということは一度きちんと探られてしかるべきかもしれない(そんな余裕が今の世の中にはないのは重々承知しているが)。