2021年2月25日木曜日

テレコーラス

 「テレコーラス」(遠隔コーラス)なるものがある:https://motion-gallery.net/projects/tele-chorus_project

コロナ禍の中で生まれた新たな合唱のかたちで、私は昨日、はじめてこれについての話をプロジェクトに関わった若者から聞いた。

 この「コーラス」は同じ伴奏音源や指揮の映像に合わせて個々の参加者が音源や動画を作成し、それを編集してつくりあげる。ということは、リアルタイムでの合唱ではないわけで、いわば「カラオケ」に近いものだと言えよう。ただ、歌ってそれでおしまいのカラオケとは異なり、この「テレコーラス」の場合、歌った個人は1つの作品に間接的にできる。

 こうした音楽形態を「コーラス」と呼ぶことには当然、いろいろと反論があろう。かく言う私も、「リアルタイム」性が失われているという点ゆえに、「テレコーラス」を「コーラス」の一形態をみなすことに違和感を覚えるし、自分で参加したいとも今のところは思わない。

 だが、それはそれとして、このような形態の音楽実践が現になされており、少なからぬ参加者が満足を覚えているのだとすれば、「そんなものは音楽ではない!」と切って捨てるわけにはいくまい(「音楽ではない」と思うのは各人の自由だが、それに喜ぶ人たちの存在を否定するとすればおかしな話である)。当事者にとってはそこには何か積極的な意味があるのだろうから。そして、私としても、「テレコーラス」という場でさらにどんな実践が展開され、音楽のありようや考え方に何か新たで有意義なものをつけ加えられることになるかには大いに興味がある。コロナ禍後にはこうしたものは姿を消すかもしれないが、そこで何かを試みたこと自体は決して無駄にはならないはずだ。というわけで、「テレコーラス」の今後に注目したい。「自分でも参加してみたい!」と思うようなものになる可能性にも期待しつつ。