2020年4月17日金曜日

オルガンの音は好きだが……

 西洋音楽を好む人で管弦楽の生演奏を聴いたことがない人は少ないだろうが、オルガンとなるとどうだろうか(ここで言う「オルガン」とは、日本では「パイプ・オルガン」と呼ばれることが多い、あの巨大な楽器のことである)。それなりの大きさのオルガンを備えたホールは、たぶん全国にはそれほどない(あってもあまり使われていない)だろうから、「オルガンを生で聴いたことがない」という人も少なくないのではなかろうか(そもそもオルガンはキリスト教の教会の重要な備品であり、その意味でも日本人がオルガンにあまりなじみがないのは当然のことだろう)。
 かく言う私も地方の生まれ、育ちなので、都会で暮らすようになるまでオルガンの演奏会など聴いたことがなかった。もちろん、レコードやCD、あるいは放送でこの楽器の音楽に親しんではいたが、生で聴くオルガンはおよそ別物だった。何よりも音の大きさと迫力に圧倒された。そして、その臨場感はなるほど録音では絶対に味わえないものだと思った。
 では、喜んでオルガンの演奏会へ通うようになったかといえば、さに非ず。むしろ逆である。つまり、その巨大な音量に耳が耐えられず、ほとんど行かなくなってしまったのだ。これは考えてみればもったいない話である。地方では聴きたくても聴けないたぐいの演奏や作品が生で聴ける機会が目の前にあるというのに。
 そこで、結局、興味のあるオルガン作品については自宅でCDを聴くことになるわけだ。最近もフランクとレーガーのオルガン作品全集のCDを楽しんでいるところだが、自分の耳に耐えられる適切な音量で聴くことができるがありがたい。こうした聴き方は作品にとっては必ずしも理想的なものではないかもしれないが、それは別にオルガン作品に限ったことではなかろう。ともあれ、今日もレーガーを仕事の合間に聴くことにしよう。  

 クラシック音楽畑の人でも、昔は時事ネタの歌、ソングを書く作曲家はいたが、現在はどうなのだろう? 今やネタには事欠かないはずだし、You Tubeを使えば発表も簡単なはずだが……。