2020年4月22日水曜日

鶯の声

 窓の外から鶯の声が聞こえてくる。鳴き方をまだ練習中のようで、あまりうまくないが、何だか心安らぐ。鶯にとってはその鳴き声には何かしら意味やメッセージのようなものがあるのだろうが、人間にはもちろんそれはわからない。が、それはそれとして楽しく聴くことができる。
 考えてみれば、人間の音楽もそのようなものかもしれない。音楽にはいろいろな種類のものがあり、様式もさまざまだ。それゆえ、ある音楽の様式に馴染んでいない者にとって、その音楽がいわんとしていることを大なり小なり(場合によってはほとんど)聞き落としてしまうことになる。また、お馴染みの様式の音楽であっても、聴く人の感覚や能力の違いによっても、やはり同じようなことが起こる。人々がたとえ同じ場で同じ音楽を聴いていたとしても、各人が聞き取っている音の像は異なるのだ。が、それはそれとして、各人は自分なりに聴いている音楽を楽しみ、味わっている。