2020年4月24日金曜日

クラスター

 語の意味というのはそれが使われる場によって微妙に異なってくる。「現代音楽」の世界では「クラスター(cluster)」という語(古英語で「群れ」を意味するclysterという語に由来し、「(花や果実などの)房、かたまり/(人や動物などの)群れ、一団、集団」を意味する)は「密集音塊(トーン・クラスター)」のことであり、私が少年時代にこの語を初めて知ったのもこの意味でだった。ところが、学部学生時代、理系の先輩と話をしていたときに、また違った用法を教わった(今改めて調べた説明によると「数えられる程度の複数の原子・分子が集まってできる集合体」のことだとか)。
そして、最近、コロナ・ウィルスの件でこの語の別の用法も知った。「集団感染」というのがそれだ。最初、ニューズで「クラスター」という語が使われているのを目にして「はて、何のこっちゃ?」と思ったが、説明を読んでなるほどと納得する。
すると、インターネットのFacebookTwitterLineなどで一部に見られる、対話や(本来の意味での建設的な)批判を一切欠いたまま、何かとても偏った考え方を巡ってお互いに「いいね!」的物言いを与え合う者同士の集まりもまた「クラスター」と呼ぶべきなのか……(誤解しないでいただきたいが、Facebookその他のメディア自体が悪いと言うのではない。要は使い方次第だということである)。

「(トーン)クラスター」 を用いた感動の名曲、ヘンリー・カウエル《生命の竪琴》(クラスターの演奏の仕方に注目):https://www.youtube.com/watch?v=aLDtFAJSB1U

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